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「ぼくには、まだわからないことがたくさんある。それをまた、これからいろいろとさぐってみるのがたのしみだが、きっとこんな質問がでるだろう。つまり、そんなことをしらべて何の役に立つのか、ということだ。
それには、ぼくはこう答える。ぼくはアゲハチョウという虫の世界を知りたいのだ、と。アゲハチョウはただの虫である。けれど、何十万年もの昔から、今のように毎年毎年あらわれてきて、生きては死んでいった。そのアゲハチョウたちの見ている世界、感じている世界は、もちろんぼくたちの世界とはまるでちがっている。でも、彼らに彼らなりの世界がないとは思われない。それはどんなものなのだろう。もしそれをすこしでも知ることができたら、ぼくらの自然というものの理解が、すこしは深まるかもしれないし、それによって、ぼくら自身のことが、もうすこしわかってくるかもしれない。現代はとくにそういうことが大切であるように、ぼくには思われるのだ」 (日高敏隆「チョウはなぜ飛ぶか」岩波書店) Analytical approaches to investigating seabird-environment interactions: a review Tremblay Y, Bertrand S, Henry W et al. MARINE ECOLOGY PROGRESS SERIES 391 153-163 2009 海鳥の行動や分布と、海洋環境を結びつけた218の研究を整理した論文。海鳥の分布を評価する方法は、オイラリアン的データ(海鳥がいた位置をグリッドに配置するようなもの)からラグランジアン的データ(時空間的に点が移動するようなもの)へと急速に変わりつつある。また、衛星リモートセンシングも一般的になってきた。しかし、海洋と海鳥の分布を結びつける統計的な手法は昔とそれほど変わっていなかった。データの特性に合った空間統計が必要である。 # by b-logging | 2009-11-20 14:30
Using likelihood to test for Levy flight search patterns and for general power-law distributions in nature
Edwards AM JOURNAL OF ANIMAL ECOLOGY 77 1212-1222 2008 動物が効率良く探索しているかどうかを判定するため、ベキ分布の一種であるLevy walkの当てはめが良く行われてきた(たとえばコレ)。Levy walkかどうかは、移動距離や時間の頻度分布を描いて log-logプロットしたあと、直線回帰して傾きを見る方法が使われてきた。これまでワタリアホウドリほか、ジャッカル、トナカイなどでLevy walkの証拠が挙がっている。 しかし、Edward et al. (2007, NATURE)でも指摘されたように、この判定方法ではbinサイズが恣意的、適合度の考察がなされないなどの問題がある。本研究では、よくつかわれるLT(Log-Transforming)法に加え、LBN(Log-Binning with Normalization)、RF(Rank/Frequency)、MLE(Maximim Likelihood Estimation)の4つの方法をシミュレーションデータに対して適用した。 その結果、MLE法が最も正確にLevy係数を予測することが分かった。また、LT法では正確な予測は難しく、これまでLevyと判定されてきた研究も再考が必要である。 # by b-logging | 2009-11-10 15:31
# by b-logging | 2009-10-31 17:16
知多半島から上陸した器用な台風が去った。
Flight metabolic rate and Pgi genotype influence butterfly dispersal rate in the filed Nitepold K, Smith AD, Osborne JL et al. ECOLOGY 90 2223-2232 2009 個体がどのように分散するかは、形態や生理などに影響を受けることは言うまでもないが、これらは遺伝的基盤を持つ上、環境にも影響を受ける。本研究ではグランヴィルヒョウモンモドキにハーモニックレーダをつかうことによって、気温、遺伝子多型(フォスフォグルコースイソメラーゼ Pgi、解糖系の酵素をコードしている遺伝子)、代謝速度がどのようにチョウの分散に影響を与えるのかを調べた。 チョウの分散は気温や代謝速度に影響を受けていた。また、ヘテロ型の個体のほうが、低い気温でより遠くまで飛んでおり、高いパフォーマンスを示した。 # by b-logging | 2009-10-08 16:03
9月は、岩手で調査→長崎で調査→函館でシンポジウム主催→西表島で調査、という過密スケジュール。なんとか乗り切った……。
Pros and cons of using seabirds as ecological indicators Durant JM, Hjermann DO, Frederiksen et al. CLIMATE RESEARCH 39 115-129 2009 高次捕食者である海鳥の繁殖状況や行動の記録から、海洋環境をモニターするという試みが盛んだが、その欠点について詳しく考察したものは少ない。このレビュー論文では、海鳥を「海洋生態系自律サンプラー」としてつかう際の注意点などを挙げている。 たとえば、餌環境が海鳥の繁殖成功をよく説明するからといって、繁殖成功が必ずしも餌環境を説明するわけではないことや、環境への応答の時間的遅れの問題、ハンドリングすることによる問題など。 # by b-logging | 2009-10-01 17:16
学振の外国人特別研究員が採用されたので、受け入れのため色々準備(初めて受け入れるポスドクが外国人とは)。
Estimating chlorophyll profiles from electronic tags deployed on pelagic animals Teo SLH, Kudela RM, Rais A et al. AQUATIC BIOLOGY 5 195-207 2009 データロガーを装着して海洋動物から環境情報を得る、いわば動物を海洋探索のプラットフォームとする研究が増えてきた。本研究では、光量と深度データから、クロロフィル濃度を計算するモデルを作った。 ロガー情報から計算された有光層でのクロロフィル濃度は、キャリブレーションのため同時に測量されたクロロフィル濃度と有意に相関した。また、クロマグロから計算されたクロロフィル濃度は、データベースのクロロフィル濃度と似ていた。改良の余地はあるものの、海洋のクロロフィル濃度の推定にロガー情報は有効だろう。 # by b-logging | 2009-08-19 15:08
オープンキャンパスでの講演の準備。思えば、オープンキャンパスなるものに参加するのは初めて。
Do activity costs determine foraging tactics for an arctic seabird? Elliott KH, Woo KJ, Benvenuti S MARINE BIOLOGY 156 1809-1816 2009 海鳥の活動量と採餌行動の関係を見るために、ハシブトウミガラスの活動量を加速度計で計測した(活動量は8秒間隔で平均化され記録)。最後の潜水バウトで雛への餌を取得したと仮定し、最終潜水バウトの活動量と、親鳥が雛に持ち帰った餌種(これはコロニーで観察できる)を比較した。その結果、中層に分布する餌を採るときには活動量が高く、底生生物を捕獲するときには活動量が低いことが分かった。 # by b-logging | 2009-08-04 14:52
日本バイオロギング研究会シンポジウム@京都。5時起きで24時帰宅の日帰り旅行。
Use of a tri-axial accelerometer for automated recording and classification of goats’ grazing behaviour Moreau M, Siebert S, Buerkert A et al. APPLIED ANIMAL BEHAVIOUR SCIENCE 119 158-170 家畜の行動研究には、3つの目的がある。1. 繁殖成績などを高め、管理するのに役立つかも、2. 活動性は、健康の指標として使える、3. 草を食べる行動を観察することで、家畜の食性を理解できる。 本論文では、3軸の加速度をヤギに付け、歩行、休息、採食などの行動を判別できるかどうかを研究した。加速度計は、Onset Computer Corporation製(18g,ホームページによると、$42-75)。また、これらの行動を自動的に判別するプログラムを作り、有用性を検討した。 # by b-logging | 2009-07-28 16:45
グローバルCOE関連の会議。プラス、委員会ダブル。
Relationship between reversed sexual dimorphism, breeding investment and foraging ecology in a pelagic seabird, the masked booby Weimerskirch H, Le Corre M, Gadenne H et al. OECOLOGIA 2009 哺乳類や鳥類で、雄が雌よりも大きいことはよくある。しかし、鳥類では、性的二型(ここでは体サイズ)の逆転(RSD Reverse Sexual Dimorphism)が起こっている種もある。性の役割が逆転していない種で、なぜそのようなことになっているのか、よく分かっていない。 本研究ではRSDである、アオツラカツオドリの採餌行動と繁殖投資に着目した。加速度データロガーとGPSデータロガーを装着し、採餌行動や巣への出入りを調べた。また、羽を数センチ切ることによって、飛翔コストを人為的に増大した実験もおこなった。 その結果、雌は雄よりも大きな採餌努力を見せ、雛への投資も大きかった。また、雌は自身の体重によって採餌努力を変化させていたが、雄はそうでなかった。一方、餌種やサイズ、採餌域などに差は無かった。 サイズの大きな雌は、柔軟に採餌をおこなえ、雛を育てるのに有利なのかもしれない。また、サイズの小さな雄は、繁殖努力を調整する余裕がないか、あるいは、巣防衛に時間やエネルギーを投資するのかもしれない。 # by b-logging | 2009-07-23 16:51
9月の鳥学会でバイオロギングのレビューを担当している。ざっとプレゼンを作ったところ、現在76枚。
EEG Responses to Visual Landmarks in Flying Pigeons Vyssotski AL, Dell'Omo G, Dell'Ariccia G et al. Current Biology 19 1-8 (2009) 帰巣するハトは、太陽の位置、地磁気、匂いなどの情報を利用して巣に帰ることがわかっている。また、馴染みのある場所では、高速道路や交差点などの視覚情報を利用する。 GPSデータロガーによって、ハトの移動軌跡が詳細にわかるようになってきた。しかし、軌跡だけでは、特徴的な景観を通り過ぎたとき、景観を見落としたのか、それとも見たけれども無視したのかは区別できない。ハトの脳内では何が起こっているのだろう。 本研究では、さまざまな景観を移動する際のハトの脳波を測定し、注意処理を解析した。脳波は、硬膜外電極から得られた。その結果、特定の景観に対応して、5つに分類された脳波の周波数成分が現れることがわかった。 # by b-logging | 2009-07-16 19:06
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